照心語録 – 大切な項目と法則

長所について

船井幸雄

  • 長所には、自分の天命を知るヒントがある
    サムシング・グレートは、それぞれの存在物に使命、役割があり、それが果たせるように、「この世」やしくみをつくってくれたようです。それが宇宙意思ともいえるものであり、観察すればするほど、実にうまくできています。
    すべての存在の使命、役割は、その存在物の長所的特性を活かすことで、果たせるようにできており、それを知り補うために短所があるようにつくられているのが、世の中であり、世の中のしくみだと私は思うのです。
    「自分のあり方」も、自分の長所的特性を見れば、はっきりわかるようになっているはずです。ある存在のよい特性=長所が、その存在の正しい「あり方」や「生き方」を示唆し、教えてくれることはまちがいないようです。
    上手な生き方のコツは、長所とすぐれた才能(特性)を活かすことなのですが、短所や欠点の是正も含めまして、「気のすすまないこと」「いやなこと」「ムリなこと」などは、できるだけしないほうがよいようです。
  • 自分の長所は、この世で与えられた使命を見つけるための道しるべ。使命を果たすことも大切ですが、使命を見つける過程で失敗を繰り返しながら成長すること自体もまた、同じくらい大切なのです。
    「長所を伸ばせば、あなたの使命と役割が果たせるように、つくったのですよ。短所は、あなたの役割に沿わないからできるだけ触れないように、わざと与えたのですから、そこには立ち入らないでくださいね」
  • つくためのコツ
     つくためには、長所を伸ばせばいい。そして、どんなことも肯定して感謝すればいい。これがつくためのコツです。ついたあとは、勉強して希望を持つ。
     勉強すれば、世の中のルールや、起こっている現象の理由がわかるようになります。自分のまわりに起こっていることは、全部自分が引き寄せており、自分に責任があることもわかります。
  • 自分の中にある「ついているもの」
    まず、実践学としては、よくわかっているもの、しかも気安くつきあえるものから付き合えばよい。それは、自分の中にある「ついているもの」とまずつきあうことだと理解してください。それは個人でも会社でもよいのです。
     全体として「つき」の悪いときでも、ひとつずつ見れば「つき」のよいものは多くあります。伸びているもの、得意なもの、好きなもの、自信のあるものなどは、「ついている」ものです。まずこれを伸ばそうということからはじめてほしいのです。こういう観点に立てば、自分の周辺に「ついているもの」は、いくらでも見つかるはずです。それに、おもしろいことに、長所というか得意なもの、好きなもの、自信のあるものを伸ばしていると、短所が消えるというか、不得手なもの、嫌いなもの、自信のないものが、だんだん少なくなっていくのです。ともかく、まず自分にある「ついているもの」とつきあい、それから自分の周辺の「ついているもの」とのつきあいをはじめ、徐々に、自分が憧れている「ついている人」「ついている会社」「ついているもの」などに、つきあいを広げていってください。
  • 短所は気にしない
     人間は、人間としても、個人としても、そのよい特性や長所を伸ばすべきで、欠点や短所については、なぜ、そのような他者に劣る点があるかを検討して、参考にするのは必要ですが、それを是正しようとしたり、気にしたりしないほうが絶対にいいようです。これは上手に生きるためにルールであり、コツです。人間の本来の使命や役割は、どうやら長所的特性の中にあるように思います。なぜなら、利点や長所を伸ばすと、欠点や短所はカバーできるようになっていると思えるからです。
  • 短所は気にせず、長所を伸ばしていけば、さらに成長できる。
  • いかなる人に対しても、少なくとも一点は、自分の及びがたき長所を見出すべし。(森信三)
    〈注〉相手さまの「美点長所」の一点把握を怠らぬこと。そして必ず賞賛指摘を逃さないことを、いくたびも注意されました。
  • わたくしには何も出来ませんが、ただ人さまの偉さと及び難さを感じる点では、あえて人後におちないつもりです。(森信三)
  • 子日わく、君子は人の美を成し、人の悪をなさず、小人は是に反す。(論語)
    先師が答えられた。「君子は人の美点を伸ばし、人の悪い所は抑えようとするが、小人はその反対である」
    立派な人物は人の美点や長所を心からほめ、特に人の居ない所でも推賞し、又悪い方を矯めようと努める。つまらない人は、人の欠点短所をことさら吹聴してはばからない。
  • 我はまさに人の長所を視るべし、人の短所を視ること勿れ。(言志四禄)