「約束の地」とは、地球改造の「約束の時」のたびに、その後の世界を原点にもどす、すなわち神主導の「神の世」にもどすために、預言されし者「約束の人」が甦る場所。
「約束の地」で偶然発見した「ミステリ-ポール」
香代子先生に、「約束の地」をご案内いただいたのは、平成3年6月19日のことだった。その日は紫陽花の花もひときわ輝きを増し、肌にここちよさが感じられる快晴に恵まれた。妻や友人も含めて合計7人、車2台で奈良県のある目的地に向かった。
どうして、その場所に向かったのか。まず、そのことから説明しよう。
「はじめに」で述べたように、香代子先生との出会いは、事業の相談に乗っていただいたのがきっかけだった。30年以上も前のことだが、その時のことは今でも鮮明に覚えている。
先生が話される一つ一つの言葉には、なんの飾りも気負いもなかったが、そこにはピーンとした緊張感が漂い、足をくずすことも出来なかった。
それまで会ったどんな人とも、違うタイプである。
ある日先生から、夢の中で見た「ある山」のことをお聞きしたのである。
見たこともない山が、夢の中に出てきたというのである。あまりにもリアルな夢で、おまけに地名まで示されているというのだ。
先生はその場所にいかなければいけないと思ったらしく、翌朝、夢で見た山のことをご主人に話し、後日一緒に夢に見られた山に向かったのである。
途中何度か道を尋ねながら車を進めていると、突然目の前に、夢と同じ風景が現れた。
「その山!その山!」
と、車の中から指を指したものの、どうしたらその山へ行けるのか分からない。近くにガソリンスタンドがあったので、店員さんに道を尋ね、やっと山の麓まで辿り着くことができたというのである。
その日私たちは、先生が夢に見られた山に案内してもらったのである。実はこの山が、「最高神の住まい」を再現するように神から伝えられた「約束の地」なのだ。
自宅のある大阪から「西名阪高速道路」に乗り、奈良県の天理インターチエンジで降り、国道169号線を桜井方面へ車を進めた。天理教の本部を過ぎて20分ほど走ると、先生が道を尋ねたというガソリンスタンドが見えてきた。ガソリンスタンドを少し過ぎると交差点があり、その交差点を左折すると、きれいな三角錐の山が車のフロントガラスいっぱいに見えてきた。
この山は、神の山と呼ばれる三輪山である。
どうして神の山と呼ばれるのかというと、日本最古の神社と言われる「大神神社」が、この山をご神体としているからである。少し進むと、リックサックを担いだ人たちが歩いている。
後で知ったことだが、日本最古の古道と言われる「山の辺の道」が、この車道を横切って三輪山の裾野を通り、そのまま「大神神社」に通じている。
おそらく、「山の辺の道」のハイキングを楽しんでいたのだろう。
この辺りは、古の香り漂う神域である。
車道から右側に分かれた細い道を、別のリックサックの一団が歩いている。
道の入り口には「桧原神社」と書かれた標識が立っている。おそらく、その神社に参拝するのだろう。そこから先は、山と山の間を縫うような道がしばらく続いたが、10分ほどで目的地に辿り着いた。
「この山です」
先生が指を指された方を見ると、山というより丘のようなところだった。車道からもそう遠くなく、普段着でも登れそうなところである。予定していなかったが、無性にその山に登りたくなり、一緒に来た弟の木元と友人の田水君の三人でその山に登ることにした。
登り始めると道がなく、木々の間を抜けながら頂上付近に到着するのに、1時間近くかかった。私は頂上付近の尾根のところで足を休めていたが、その時、一緒に登った木元が何かを見つけたらしく、興奮した声で私を呼ぶのだ。
「兄貴!何かあるぞ!!」
声のする方を見ると、そこは山の尾根から少し下がったところで、覆われた樹木で薄暗かったが、木漏れ日でその姿を確認することができた。
慌てて尾根を下ると、どういうわけかその辺りだけが平坦になっている。
彼のそばへ行くと石の祠があり、木製のポールが立っているではないか!!
見た瞬間、ドキッとするような驚きと、ワクワクするような興奮を覚えた。ちょうど、子供の頃の宝探しゲームで、宝のありかを見つけたような感覚だ。
さらに驚いたのは、この木製のポールには、「三種神器」がこの場所で祀られていたと書かれていることである!
「何、『三種神器』!!」
私たちは、何かとんでもないものを発見したように思い、ミステリーポールに書かれた文字を、一字一句、書き記しておかねばならないと思った。ところが、筆記用具がなく、二人で分担して慎重にその文字を記憶したのである。木製のポールには、次のように書かれていた。
「巻向山 桧原都谷聖跡 三種神器奉祀跡 大兵主神社 中由雄」
このポールは大兵主神社という神社の、中由雄という宮司さんに建てられたと思われる。おそらく、この山は「巻向山」という山で、この場所は「桧原都谷」という聖地の跡で、「三種神器」が祀られていたのだろう。見た感じこのポールは、それほど古いものではなさそうだ。せいぜい、10年か20年前頃に、建てられたものと思われる。
「三種神器」とは、天皇の地位を示す「御璽」である。「御璽」とは、「水戸黄門」の黄門さまの「印籠」と同じようなものである。
テレビドラマでお馴染みの「水戸黄門」の大詰めで、徳川家の「葵」のご紋の入った「印籠」を見せて、黄門さまの素性を明かすシーンがある。
「ひかえろ、ひかえろ、頭が高い。ここにおわすは、水戸のご老公であるぞ!」
「ハア、ハアー」
といって一同平伏するシーンである。
「三種神器」とはその「印籠」と同じ皇位を示す神器で、歴代の天皇が継承してきた三種の宝物の「鏡」と「剣」と「勾玉」を指す。
現在、「鏡」は伊勢神宮に、「剣」は名古屋の熱田神宮に、「勾玉」は皇居に安置されている。
ミステリーポールに書かれたことが事実なら、この場所には、皇位を示す神器が祀られていたことになる。
どうして、こんな名もない山中で、「三種神器」が祀られていたのか?
不思議だ!?
さらに不思議なのは、先生の夢に現れ、最高神の「住まい」を再現するように神から伝えられ場所に、「三種神器」が祀られていたことである。
ミステリーポールが建てられた、ミステリースポットはいかなる場所なのか?
ミステリーポールから投げかけられた謎に、私たちは呆然としながら、しばらくその場を離れることができなかった。
まさかこのミステリーポールが、日本の秘密を解き明かし、香代子先生のほんとうの姿、言い換えれば、「預言されし者」の正体を証す鍵になるとは、この時知る由もなかった。