照心語録 – 大切な項目と法則

ほんとうの自分

  • 本当の自分を知り、本当の自分をつくる人であって、初めて人を知ることができる、人をつくることが出来る。国を知り、国をつくることができる。世界を知り、世界をつくることができる。(安岡正篤)
  • 心身を統一するときに、一番妨害になるのは心なんだ。雑念妄念をとりさえすれば、人間のすぐれた霊性心、すなわちインスピレーションが出てくる。霊性心が本当に自分の命のものとなると、ぜんぜん今までと違った頭になってくる。いつもクリアーなすっきりとした、それこそ磨きたての真珠を薄絹に包んだような気持ちになれますよ。そうすると、一番先にあなた方は、ああ、人間というものは幸福に生きて、丈夫に生きる方がやさしいわ、ということを発見するはずです。(中村天風)
  • 消極的な暗示には感応するが、積極的な暗示には感応しないのが普通の人である。安定打坐法を行うと、積極的暗示の感受性が強くなり、消極的暗示はいままでのように簡単には感応しなくなる。この方法は、乱れた心を平静にし、心を虚にすることができ、心意識の新陳代謝を行うことができる。すなわち、心の曇りと汚れを排除すれば、本来の姿を現し、本来の姿が現れれば、心はきわめて強いものなのである。(ここにいう安定打坐法とは、中村天風氏の編み出した瞑想法だが、普通の瞑想にも同じ効果がある)
  • 消極的観念という心のよごれを「安定打坐法」により取り去ると、輝く根本心が発現してくる。これは強い強い積極的なものであるから、心の力が強まるのは当然である。(ここにいう輝く根本心こそ、「本当の自分」の正体である)
  • 宇宙という大生命の流れと人間の心が一つになれば、ここに初めて生命の本体も本質も分明してきて、当然の帰結としてこの宇宙の心が真善美以外の何ものでもなく、そして同時に人間の心の本質(本然の姿)もまた、真善美以外の何ものでもないことがわかってくる。(中村天風)
  • 仮己を去って真己を成し、客我を逐うて主我を存す。是を其の身にとらわれずという。(言志四禄)

借り物の自己を捨て去って本物の自己を成り立たせ、外物に囚われたかりそめの自己を追い払って主体性のある本来の自己を存在させる。これを我執にとらわれない融通無碍の境地というのである。
(「借り物の自己を捨て去って本物の自己を成り立たせ、外物に囚われたかりそめの自己を追い払って主体性のある本来の自己を存在させる」とは、ユングのいう、借り物の「自我」から「自己」すなわち「本当の自分」に気づき、「本当の自分」になるということである。20世紀になって成立した、心理学を知らないはずの佐藤一斎の洞察に驚いてしまう)