まず、地球環境から説明しよう。
環境問題で最初にあげられるは、温暖化である。
産業革命以来、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料を燃やすことで二酸化炭素が際限なく放出され、現在、年間60億トン以上もの二酸化炭素が排出されている。そのうち海水や森林に吸収されない30億トンが大気中に蓄積されている。この二酸化炭素が大気圏下を覆い温室効果を高め、地球温暖化の原因になっている。この状態が続けば、今後50年から100年以内には地球の平均気温は2度から3度、最悪5度程度上昇すると推測されている。
氷河期は約1万年前だが、それ以来1万年かけて5度上昇してきた地球の平均気温が、たった50年ないし100年で、さらに5度上昇してしまうことになる。その結果、地球上の氷が溶けて海面が上昇し、計算によると地球上の全ての氷が溶けると、現在の海岸線より80メートル海面が上昇する。
そのうちの1%の氷が溶けたとしても海面が80センチ上昇し、太平洋にある島国、マーシャル共和国などは国土の80%が水没してしまうといわれている。
2番目の問題は、オゾン層の破壊である。
地球の上空には、生物にとって有害な紫外線を吸収するオゾン層がある。
オゾン層が、人工的に作られたフロンなどの化学物質で破壊されつつあるのは、周知の通りだ。南極の上空では、オゾン層に穴があいたオゾンホールが発見されている。南極圏に近いオーストラリア南部のクイーンズランドでは、皮膚ガン患者数が男性で2倍、女性で1.5倍増加している。
これは紫外線による被害と考えられているが、有害な紫外線は他の動植物や微生物にも被害をもたらし、食糧問題にも直結する。
3番目の問題は、酸性雨である。
工場や火力発電所、自動車などから排出される窒素酸化物や硫黄酸化物が上空に放出され、これらと水蒸気が結合し、やがて雨となって強い酸性雨を降らせる。その結果、樹木の立ち枯れ、湖沼の魚が死ぬほどの被害がでている。
森林への被害では、ドイツの森林地帯が最もひどく、その半分以上が被害を受けている。