貨幣経済の問題点

地球環境も日本の国家財政も危機的状況だが、貨幣経済を中心とする現在のシステムにも多くの問題点があり、まさにギリギリの状況である。
資本主義の先進国アメリカでは、人口の1パーセントがアメリカ全体の富の38パーセントを握り、ニューヨークには、一握りの億万長者がいる一方で多くのホームレスがいる。
統計によると、この10年間で富める人は28倍豊かになり、貧しい人は17倍貧しくなった。しかも、1日1ドル以下で生活する貧困層が世界で12億人以上も存在し、世界のどこかで1日28人の子供たちが餓死している。(『世界同時大恐慌―資本主義崩壊 光は極東日本からー』ラビ・バトラ著 あうん)
これは、貨幣経済を中心とするシステムが招いたものである。環境問題も、このシステムと密接につながっている。
ガソリン車は温暖化の原因となっているので、全廃すべきである。しかし、それを実行すれば自動車業界はじめ多くの産業界が大きなダメージを受け、膨大な失業者が生まれ、想像もつかない社会混乱が生じる。だから、地球環境に良くないとわかっていても、思い切った対策が取れないのである。
そもそも、今のシステムは、物を生産し消費し続けないと維持できない。
仮に恐慌などで急激に消費が低迷すれば、多くの産業が打撃を受けて失業者が急増し、さらに消費が落ち込み失業者が急増するという悪循環に陥る。この悪循環が続けば、体制事態が崩壊するだろう。
私は近いうちに、資本主義は崩壊すると思っている。ソ連の崩壊、社会主義の崩壊を的中させた経済学者ラビ・バトラ氏も、資本主義が崩壊すると予測している。
今のシステムは、科学の進歩も阻んでいる。例えば、一度使用すると一生虫歯にならないような薬が開発されたとしても、その薬を使用すれば、多くの歯科医師が廃業に追い込まれるため、いくら良いとわかっていても使用されることはないだろう。
同じように、石油や原子力に変わる、例えば「水」のような安価なエネルギーが開発されたとしても、石油経済を圧迫し、お金にならないという理由で使用されることはないと思う。
今や、貨幣経済を中心とするシステムによって、著しい貧富の差をつくり、多くの貧困層や餓死者すらだし、地球そのものが破壊され続けているのをわかっていても、止めることができない現状をつくりだしている。さらに、人にも地球にも良い、画期的な発明や技術の活用すら阻んでいる。
貨幣とは元々、物と物とを交換するために生まれた道具である。本来の役割を、取り戻すべきではないだろうか。