日本の経済状況

次は、日本の経済状況を説明しよう。
日本は1000兆を超える、膨大な借金をかかえている。ところが、税収は約40兆円で、支出は100兆円近くあり、毎年約60兆円の借金を増やしている。
このような経済状況の中で、頼みの綱は個人資産だが、それは、約1400兆円あるといわれている。ところが、その個人資産から、事業運営資金である「個人事業主の保有金」や日々の生活費として必要な「現金」、年金用の資金である「年金基金」を差し引くと572兆円となる。したがって、純個人資産と呼べるものは572兆円しかなく、借金には遠く及ばない。
一方、国の資産は815兆(2002年)あるといわれているが、その多くは売却不能な道路や橋などのインフラである。
そこで、国家を健全に運営するには増税しかない。
消費税を1%あげると2兆~2.5兆円の税収になるといわれているが、消費税を上げれば消費が冷え込み、消費税を40%にしても、実際は50兆~60兆円の増収にしかならないと考えられている。
したがって、消費税を40%に上げないと、税収と支出のバランスがとれない。
ところが、消費税を40%に上げるのは不可能に近い。たとえそれが実現しても、1000兆円を超える膨大な借金残高は減らない。
そこで、多くの経済学者は、近い将来に日本の財政破綻が表面化すると予測し、さらに、財政が破綻すると、制御不能なハイパーインフレになる可能性が高いと指摘している。
そのインフレ率はその国家の経済環境や政策によって異なるが、10数年前のロシアでは年率7000%というすさまじいインフレが発生し、トルコでは年平均80~100%のインフレが続いた。
このインフレは、私たちが高度成長期やバブル期に経験したものとは全く別のもので、正確にいうと通貨の価値の暴落である。世界の他の先進国がすべてデフレであっても、日本が破産すれば、日本だけがハイパーインフレに陥るということも十分ありうる。もちろん、かなりの円安になる。
そうなれば、預金封鎖などの徳政令がしかれるかもしれない。