10. 様々な法則
船井幸雄
カガミの原則
ほめられたなら、ほめ返したい。いじめられたときはいじめ返したい。悪口には悪口で、笑顔には笑顔で応えたいというように、能動側の相手に対し、受動側もおなじように反応したいのが人間なのです。人間だけでなく、この世のすべての存在がそうだ、といったほうがよいかもしれません。意識の上では、カガミの原則は厳として働くのです。ですから、「実現性のあると思うこと」や「切なる思い」は、どこかでかならず実現するのです。
愛情の原則
この世のものは、どういうところに引き付けられるかというと、「だいじにするところに集まってくる」というように、だいじにしてくれる愛情を持ってくれるところへ集まるようです。お金も、人材も、情報も、それらを心から集めたいと思っている人のところへ集まるから、「集めたい」と考えるべきですが、それらにさらに強い愛情を持ち、だいじにしてくれるところへは、やがてではなく、すぐに集まるのです。
人に好かれる4原則
1、自慢しない
2、「私が、私が」と過剰な自己主張をしない
3、他人を認め、褒め、受け入れる
4、他人を否定したり、けなしたりしない
プラス発想を生む3つの要素
1、他者オール肯定
2、過去オール善
3、オール楽しむ
運のいい人、ついている人の10特徴
1、プラス発想型人間
2、すなお肯定型人間
3、勉強好き、挑戦好き、やる気型人間
4、謙虚な笑顔型人間
5、長所伸張型人間
6、自助型人間
7、辛抱、執念型人間
8、着実、バランス安定型人間
9、強気、負けん気、思いやり型人間
10、秩序維持型人間
→人相がよく、明るく、温かい
運の悪い人、つかない人の9つの特徴
1、マイナス発想型人間
2、否定、批判型人間
3、保守、怠け型人間
4、傲慢、不遜型人間
5、短所是正型人間
6、あきらめ型人間
7、情緒不安定、短慮型人間
8、弱気、逃避型人間
9、保護、制約期待型人間
→人相が悪く、暗く、冷たい
波動の法則
1、同じような波動は引き合う
2、違う波動は干渉し合って撥ねのける
3、自分の出した波動は自分に戻ってくる。他人に悪いことをすれば、自分にも悪いことが返ってくるということであり、これをフィードバックの原理という。
4、波動には相対的に優位の波動と劣位の波動があり、優位の波動は劣位の波動をコントロールできる。いちばん優位の波動は、こだわりのない、すべてを受け入れられる知的存在の波動。エゴがなく、調和のとれた「思い」の波動。
森信三
自己の本質の発揮実現のための方法
1、「誠実」
この誠実の徳は、自己の内包している本質的生命を発揮するための最も基盤的な徳であって、ふつうには「言行一致」が、この徳の根本属性と考えてよかろう。しかし「言行一致」を可能ならしめるその内面的根拠といえば、言うまでもなく誠実のもつ無私性と言ってよいであろう。
2、「叡智」
叡智は我われ人間の行動的実践の行く手を照らすと共に、自己を囲むもろもろの対人的理解、さらにもろもろの現実的諸条件に対して、十分な理解と洞察とを必要とするが故である。
3、「勇気」
いやしくもこの現実界において何らかの事をなし、そこに道を拓こうとする以上、そこには常に何らかの意味での勇気を要するが故である。
4、「自制」
事を遂行するに当たってその支障となるものは、自分以外の外界にも種々あ
るであろうが、しかし何よりも重要なことは、自己の内なるものによる障碍
であって、このような自己の内なる欲念の制御即ち自制こそ、真に必要な徳
といえるであろう。
5、「集中専念」
この集中専念の徳こそ、もっとも現代的な徳目の一つというべく、我われの精神は、一点への集中によって、はじめて生命の全的燃焼と発光を可能とする故である。
6、「持続一貫性」
「集中」や「持続一貫」は、純粋に対自的な徳目というべく、わたしはこの徳をもって、人間的実存における生の創造作用としての新たなる「徳」の範疇として重視したい。
7、「結実」
これは一旦事を始めた以上は、念にも念を入れて、その終局目標を達成するの謂いであって、世上にいう「止めを刺す」の一語は、卑俗ながらよくこの徳の実態を示すと言えよう。
人の生き方
1、自分が持って生まれてきたいのちの特色を、十分に発揮し実現すること。
2、自分の接する範囲の人びとに対して、できるだけ親切にし、たとえ少しで
も他の人びとのために尽くすこと。
幸福獲得の三大秘訣
1、自分のなすべき勤め(責任)に対して、つねに全力を挙げてそれと取り組
むこと。
2、つねに積極的に、物事を工夫して、それをみごとに仕上げること。
3、人に対して親切にし、人のために尽くすこと。
我われ人間は、以上の三ヶ条を守ることによって、一応幸福や生甲斐を手に入れることが出来るといえましょう。
人間の知恵とは
1、先の見通しがどれほど利くか
2、又どれほど他人の気持ちの察しがつくか
3、その上何事についても、どれほどバランスを心得ているか、ということでしょう。
〈注〉1、先見力 2、洞察力 3、調和力
人間形成の三大要因
1、遺伝的な先天的素質
2、師教ないし先達による啓発
3、逆境による人間的試練
人間としての最低の基本線
1、職業に対する報謝として、後進のために実践記録を残すこと。
2、この世への報謝として「自伝」を書くこと。随って自伝はその意味からは一種の「報恩録」ともいえよう。
3、そして余生を奉仕に生きること。
これ人間としての最低の基本線であって、お互いにこれだけはどうしてもやり抜かねばならぬ。
しつけの三大原則(三つのたしなみ)
1、朝のあいさつをする子に-それには先ず親からさそい水を出す。
2、「ハイ」とはっきり返事のできる子に-それには母親が、主人から呼ばれたら「ハイ」と返事すること。
3、席を立ったら必ずイスを入れ、ハキモノを脱いだら必ずそろえる子に。
再建の三大原理
1、時を守り
2、場を浄め
3、礼を正す
これ現実界における再建の三大原理にして、いかなる時・処にも当てはまるべし。
腰骨を立てる要領
1、尻をうしろにひく
2、腰骨の中心を前に突き出す
3、下腹に力を入れて持続させる
そうすると、肩の気張りがとれ、全身の力が臍下丹田に収まって、上体が楽になり、ドッシリ落ち着いた人間になれる。その効果は、注意の集中力と持続力が身につき、判断力が明晰になり、行動的実践的な人間になれる。
人を知る基準
1、いかなる人を師匠としているか。
2、いかなることをもって、自分の一生の目標としているか。
3、今日まで、いかなる事をしてきたか、すなわちその人の経歴。
4、その人の愛読書がいかなるものか。
5、その人の友人いかんということ。
大よそ以上の五つの点を調べたならば、その人がいかなる人間であり、将来いかなる方向に向かって進むかということも、大体の見当はつくものと言えましょう。
親として大事なこと
1、親自身、自分の為すべき勤めに真剣に取り組むこと。
2、常にわが子の気持ちの察しのつく親になること。
男が身につけるべき4つの大事なこと
1、責任感
2、決断力
3、実行力
4、洞察力
女が身につけるべき四つの大事なこと
1、子供のしつけ
2、家計のしまり
3、料理
4、清掃と整頓
お金に困らぬ人間になる工夫
1、大きなお金をくずすのは、一日でも先に延ばすこと。
2、お札を逆さまに入れたり、ハチあわせにしたりせぬこと。
3、財布を幾つか持っていて、それぞれの用途や向きに応じて別にしておくこ
と。
安岡正篤
健康の三原則
1、心中常に喜神を含むこと
(神とは深く根本的に指して言った心のことで、どんなに苦しいことに逢っても心のどこか奥の方に喜びをもつということ)
2、心中絶えず感謝の念を含むこと
3、常に陰徳を志すこと(絶えず人知れず善い事をしていこうと志すこと)
思考の三原則
1、目先にとらわれないで、出来るだけ長い目で見ること
2、物事の一面にとらわれないで、出来るだけ多面的に、出来れば全面的に見
ること
3、何事によらず枝葉末節に捉われず、根本的に考える
人に嫌われぬための五箇条
1、初対面に無心で接すること
有能な人間ほど、とかく慢心や偏見があり、どうしても有心で接する、これはいけない
2、批評癖を直し、悪口屋にならぬこと
3、努めて、人の美点・良所を見ること
4、世の中に隠れて案外善いことが行われているのに平生注意すること
5、好悪を問わず、人に誠を尽くすこと
(『安岡正篤一日一言』)
善行大略10類
第1は、人のために善を為す
第2は、愛敬で心を養う
第3は、人の美を為す
第4は、人にすすめて善をなさしめる
第5は、人の危急を救う
第6は、大利になることを興し建てる
第7は、財を捨てて施しをする
第8は、正しい法を護持する
第9は、自分より身分の高い、年齢の長じた人を尊重する
第10は、物の命を愛惜する
(『陰シツ録』を読む 安岡正篤 )
五医
1、小欲医惑 欲を少なくして惑いをいやす
2、静坐医躁 静坐をして躁(がさつ)をいやす
3、省事医忙 事を省いて忙をいやす
4、択友医迂 友をえらんで迂(にぶさ)をいやす
5、読書医俗 書を読んで俗をいやす
五種の人柄
1、高品・・自立自由にして俗物と違った識を持つ。中道を選び毅然として執
る
2、正品・・定見を持っている
3、雑品・・善い所もあるが過ちもある
4、庸品・・短所もなければ長所もない。これは世の中の役に立たない
5、下品・・邪と偽りの二種
(『シン吟後を読む』 安岡正篤 )
人物をみる八観法
1、通ずればその礼する所を観る
すらすらとうまく行きだしたときに、どういうものを尊重するかを観る
2、貴ければその進む所を観る
地位が上がるにつれ、その登用する人間を見て人物が分かる。
3、富めばその養う所を観る
金ができると何を養いだすか。
4、聴けばその行う所を観る
善いことを聞いたら、それを実行するかどうかを観る。
5、習えばその言う所を観る
習熟すればその人の言うところを観る。
6、止ればその好む所を観る
この「止」は板につくという意味。一人前に仕事ができるようになると、何を好むか。
7、窮すればその受けざる所を観る
貧乏したときに何を受けないかを観る
8、賤なればその為さざる所を観る
人間落ちぶれると何をするかわからない。だから為さない所を観る。
(『安岡正篤一日一言』)
人間の9つの品格
1、君子中の君子。これは才・徳に円満に備わり、往くとして可ならざるものである
2、徳に優れて才短なるもの
3、善人、君子ではあるけれども、自ら守るに足る程度のものであって、人を
化するという程の積極的な力がない。
4、才徳・識見共に取るに足るほどのものがなくて、世間の趨勢に従って浮き沈みし、己の利に走って害になるようなことはなるべく避けようとする。そうして世の中のはやり・すたりに身をまかせて、自ら異を表すことをしない。
5、小人にして気性が偏り心がよこしまで、ただもうソロバン勘定ばかり考えていやしくも取れるものならば何でも取る。ひとに笑われようが憎まれようがかりそめにも利益になるものならば何物をもの逃さない。ただ、他を害しない。
6、小人の中の小人。貧賤でインガン。外からはわからぬが心の中でねじけておって、自分はこうするのだということになると誰が何をいおうと頓着しない。またそれを実際にやってのけるだけの手腕もある。そして何でもかんでも欲しがってそれが思うようにいかないと腹を立てて人を怨む。何事も自分のことは棚に上げて人のせいにして終始不平不満をいうておる。しかもそんな我儘勝手なことばりやっていると人に嫌われ憎まれるということを一向にかえりみない。
7、小人に似た君子。他からかけ離れてそそり立ち、世俗の締め括り、礼節などに支配されない。ただ、人間の規模、器量が大きくて、小さな疵や欠点は気にならない。
8、君子に似た小人。上手な嘘をつき、うわべを飾り、何でもうまく取り入れておさめ、天下の大悪をなして優れた名声を得る。しかも事が幸いにも失敗しなければ、時代も欺かれてついにはそういう人間であることもわからなくなる
9.君子と小人の間の人間。行いまっすぐなようで偏っている。言語が道理にかなっているようで、実際は雑である。
(『シン吟後を読む』 安岡正篤 )
養寿規
1、早起き、静坐、梅茶を服す
2、家人に対し、温言和容を失わず
3、養心の書を読み、養生の道を学ぶ
4、老壮の良友に交わり、内外の時勢に通ず
5、凡て宿滞を除き、隠徳を施す
日用心法
1、毎日の飲食を適正にやっているか
2、毎晩よく眠れるか
3、自分の心身に影響を与えているような悪習慣はないか
4、適当な運動をしているか
5、日常生活上の出来事に一喜一憂しやすくないか
6、精神的動揺があっても、仕事は平常どおり続け得るか
7、毎日の仕事に自分を打ち込んでいるか
8、自分は仕事にどれだけ有能か、自分は仕事に適するか
9、現在の仕事は自分の生涯の仕事とするに足りるか
10、仮に自分の仕事がどうしても自分に合わぬ、自分の生活が退屈であるとすれば、自分の満足は何によって得るか
11、自分が絶えず追求する明確な問題を持っているか
12、自分は人に対して親切か、誠実か
13、自分は人格の向上に資するような教養に努めているか
14、特に何か知識技術を修めているか
15、自分は何か信仰・信念・哲学を持っているか
六然
1、自処超然(自ら処すること超然)
自分自身に関してはいっこう物に囚われないようにする
2、処人アイ然
人に接して相手を楽しませ心地良くさせる
3、有事斬然
事があるときはぐずぐずしないで活発にやる。
4、無事澄然
事なきときは水のように澄んだ気でおる
5、得意タンゼン
得意なときは淡々とあっさりしておる。
6、失意泰然
失意のときは泰然自若としておる
私はこの六然を知って以来、少しでもそうした境地に心身を置きたいものと考えて、それとなく忘れぬように心がけてきたが、実に良い言葉で、まことに平明、しかも我々の日常生活に即して活きている。
六験
1、之を喜ばして以てその守を験す
人間は嬉しくなると羽目を外す。しかし、人間には守らねばならない分とか節がある。それを喜ばされたくらいで外してしまうようでは人間として落第です。
2、之を楽しませて以てその僻を験す
喜びの本能に理性が伴うと、これを楽という。人間は楽しむと、どうしてもヘキする。かたよる。すると公正さを失って物事がうまくいかない。
3、之を怒らして以ってその節を験す
人間はどんなに怒っても、締まるところは締まり抑えるところは抑えなければいけません。
4、之を懼れしめて以てその特(独)を験す
人間、恐れると何かに頼りたくなって一本立ちができなくなる。
5、之を哀しませて以てその人を験す
人間は悲しいときにその人のすべてがあらわれる。人物をみるのは哀しませるのが一番
6、之を苦しませて以てその志を験す
苦しいことにぶつかると、ついへこたれがちになる。志とは千辛万苦に耐えて自分の理想を追求してゆくことである。よく苦しみに耐えて理想を追求してゆく人間なら間違いはない。
素心規
1、禍が福か、人間の私心でわかるものではない。長い目で見て、正義を守り、陰徳を積もう。
2、窮困に処するほど快活にしよう。窮すれば通ずる、又通ぜしめるのが、自然と人生の真理であり教である。
3、乱世ほど余裕が大切である。余裕は心を養うより生ずる。風雅もかえってこの処に存する。
4、世俗の交は心を傷めることが少なくない。良き師友を得て、素心の交を心がけよう。
5、世事に忙しい間にも、寸暇をぬすんで、書を読み道を学び、心胸を開拓しよう。
6、祖国と同胞の為に相共に感激を以て微力を尽くそう。
※素心:利害や意見や年齢や地位身分など、そういう様々な世間の着色に染まらぬ生地のままの純真な心
五交
1、勢交・・勢力者に交を求める
2、賄交・・財力ある者に交を求める
3、談交・・能弁家に交を求める
4、窮交・・困窮のために苦しまぎれに交を求める
5、量交・・利害を量って得な方に交を求める
いずれも恥ずべきもので長くは続かぬが、かく挙げてくれば真の交わりというものも人世には得難いものである。(『安岡正篤一日一言』)
六中観
1、忙中閑有り
忙中に摑んだものこそ本物の閑である
2、苦中楽有り
苦中に摑んだ楽こそ本当の楽である。
3、死中活有り
身を棄ててこそ浮かぶ瀬もあれ
4、壷中天有り
どんな境遇でも自分だけの内面世界は作れる。どんな壷中の天を持つか
5、意中人有り
心中に尊敬する人、相ゆるす人物を持つ
6、腹中書有り
身心を養い、経綸に役立つ学問をする。
私は平生ひそかにこの観をなして、如何なる場合も決して絶望したり、仕事に負けたり、屈託したり、精神的空虚に陥らないように心がけている。
(安岡正篤)
七見識
1、人情の識・・・頭の理と情の理、情の理を理解するのが人情の識
2、物理の識・・・物の理を理解すること
3、字体の識・・・表面に現れたものではなく本体を掴むこと
4、事勢の識・・・問題や事件を見て、時勢の微妙なエネルギーの動きを捉えること
5、事変の識・・・事勢はいわば大観した語で、それを個々の事実に即していえば事変に外ならない。
6、精細の識・・・いろんな細部にわたってのつっこんだくわしい識
7、かつ大の識・・小さいことに拘泥しないで大まかに論断・決断する識
(『シン吟後を読む』 安岡正篤 )
事を賊する6種の人の説
1、腐儒の迂説
腐れ儒者の、現実にぴったりしない廻りくどい説。
2、曲士の拘談
一部のことしか知らぬ人間の拘泥した話。一分野のことしか知らぬ人間の
話はとかくその自分の分野に拘泥するものです。いわゆる専門家などは広
い意味でいうと曲士であります。自分の専門を通じて広く真理に通ずるの
が本当の学者でありますが、そういう人は極めて少ない。
3、俗子の庸識
ありきたりの世俗のことしかわからぬ人間、本当のことがわからぬ人間の
凡庸な知識、物の見方。
4、躁人の浅見
がさがさした落ち着きのない人間の浅はかな考え。
5、きっ者の異言
人をいつわりあざむくような人間の目先の違った言葉。胸に一物のある人
間は普通一般の考えておることと違ったことをひょいといって、みんなを
刺激したり驚かせたりするものです。
6、せん夫の邪心
心がねじけて媚びへつらう人間のよこしまな話。
(『シン吟後を読む』 安岡正篤 )
女人五徳
1、平素人と争競せず
武家社会で婦人に社交を戒めたことには深い意味がある。とかく無教養な夫人ほど社交に出ると他人と比較争競したがるからだ。人と争い競わぬというのは男女を問わず大切な徳である。
2、苦難中怨言無し
苦しみ悩みの中にあって恨み言を言わない。ある人が会社に辞表を出して帰ってきた。妻に一言、「辞表を出したよ」と言うと、彼女は言下に「それじゃまたお好きな魚釣りができますね」と言ったという。これは嬉しい。かくなるのが本当の女性だ。
3、飲食を節す
これは美徳だ。牛飲馬食の女性ではいささか興が冷める。
4、事を聞いて驚喜せず
激情を露にせずに、しっとりと落ち着いているのがよい。
5、よく尊敬す
何事によらず尊敬することを知というのは貴い徳だ。人間はこれあるによって進歩する。
(『安岡正篤一日一言』)
父母憲章(『人生の五計』PHP文庫)
1、父母はその子供のおのずからなる敬愛の的であることを本義とする。
2、家庭は人間教育の素地である。子供の正しい徳性とよい習慣を養うことが、学校に入れる前の大切な問題である。
3、父母はその子供の為に、学校に限らず、良き師・良き友をえらんで、これにつけることを心掛けねばならぬ。
4、父母は随時祖宗の祭を行い、子供に永遠の生命に参ずることを知らせる心掛けが大切である。
5、父母は物質的・功利的な欲望や成功の話に過度の関心を示さず、親戚交友の陰口を慎み、淡々として、もっぱら平和と勤勉の家風を作らねばならぬ。
6、父母は子供の持つ諸種の能力に注意し、特にその隠れた特質を発見し、啓蒙することに努めねばならぬ。
7、人世万事、喜怒哀楽の中に存する。父母は常に家庭に在って最も感情の陶冶を重んじねばならぬ。
児童憲章(『人生の五計』PHP文庫)
1、人間進化の機微は胎児に存する。胎児はまず最も慎重に保育されねばならぬ。
2、児童は人生の曙である。清く、明るく、健やかなるをたっとぶ。
3、児童に内在する素質、能力は測り知れぬものがある。はやくより啓発と善導を要する。
4、習慣は肉体となり、本能となる生きた主義理論であり、生活は習慣の作品である。良い習慣を身につけること、すなわち躾(しつけ)は児童の為に最も大切である。
5、言葉と文字は人間文化の血脈である。児童はなるべく早くから、民族の正しい言葉と文字を学ばねばならぬ。その学習能力は児童は大人より純粋鋭敏に本具しているものである。出来れば一、二の外国語を修得することも望ましく、それはまた十分可能なことである。
6、児童は祖国の歴史伝統に基づく勝れた文学・芸術や、世界と宇宙の限りない感興に誘う諸々の作品のうちに養われねばならぬ。
7、いかなる艱難辛苦も、輔導宜しきを得れば、児童にとってかえって大成の試金石となるものである。
学生憲章(『人生の五計』PHP文庫)
1、徳性は人間の本性であり、知能、技術は属性であり、習慣は徳性に準ずる。三者相まって人間を大成する。
2、学生はその徳性を養い、良習を体し、知識を修め、技芸を磨くを以て本分とする。
3、人間は鍛錬陶冶によって限りなく発達するが、その本具する諸々の性能は学生時代に成就するものである。古今人類文化に寄与した偉大な発明発見や開悟も、少なからず二十歳代に行われている。
4、学生は人間の青春であり、民族の精華である。その品性・態度・教養・行動はおのずからその民族・国家の前途を標示する。
5、学生は自己の学修及び朋友との切磋琢磨を本分とし、出来る限り雑事に拘わることを自戒せねばならない。
6、講説の師は得易いが、人間の師は逢いがたい。真の師を得ては、さいそうの労をも厭うべきでない。
7、国家・民族の運命を決する重大時期に臨んでは、敢然として身を挺し、敬慕する先輩知己と共に、救民・革命の大業に参ずる覚悟を持つことは貴い。
教師憲章(『人生の五計』PHP文庫)
1、教育は職業的・社会的成功を目的とする手段ではなく、真の人間を造ることを使命とする。
2、子弟が将来いかなる地位に就いても人から信用せられ、いかなる仕事に当たっても容易に習熟する用意のできておる、そういう人間を造ることが教育の主眼である。
3、将来を担う子弟が、明日の行路を誤たず、信念と勇気をもって進む為に要するものは、単なる知識・理論や技術ではなく、人間の歴史的・恒久的な原理であり、典型である。
4、教師はみだりに人を教うる者ではなく、まず自ら善く学ぶ者でなければならぬ。
5、教師は一宗一派の理論や信仰を偏執して、これを子弟に鼓吹しはならない。
6、教師は学校と教壇をなおざりにして、政治的・社会的活動をしてはならない。
7、現代が経験している科学・技術・産業における諸革命と相応する理性的・精神的・道義的革命が達成されねば、この文明は救われない。その「革命への参加」は、教師において、いかなる階級の奪権闘争でもなく、もっと内面的・霊的な創造でなければならぬ。
『人を動かす』名言10か条 (カーネーギー 『人を動かす』)
- 偉人は小人物の扱い方によって、その偉大さを示す。
- 人を扱う場合、相手を論理の動物だと思ってはならない、相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち自尊心と虚栄心によって行動する。
- 人を説得して何かをやらせようと思えば、「どうすればそうしたくなるか」をまず考える。
- 人をしかりつけるのは愚の骨頂。自分のことさえ、自分で思うようにならないのに、神さまが万人に平等な知恵を与えたまわなかったことにまで、腹を立てる余裕はない。
- 相手の考えが完全に間違っていたとしても、当の本人はそう思っていない。だから、相手の意見に真向から反対したり、自分の意見を断定的に述べたり、自分の意見だけが正しいと言い張ることのないように、常に心がける。
「私の考えるところでは・・」 - 人を批判したり、非難したり、小言を言ったりすることはどんな馬鹿者でもできる。そして、馬鹿者にかぎってそれをしたがる。
- 人は自分と同じ意見の者はいないか、必死になって探している。
- そして人は、自分の気持ちを理解してくれない者にはついていかない。
- 人間性のもともと奥底にある原則的なものは、正当に評価されることを切望する心の存在である。
- 人はだれでも、他人より何らかの点ですぐれていると考えている。
相手の心を確実につかむ方法は、相手の長所や価値を見つけ、相手なりに重要人物であると、心から認めてやることである。 - 人に誉められて働くよりは、人に叱られて働く方がよく働く人間には、まだ会ったことがない。そして長所を伸ばすのも、ほめること、励ますことが何よりの方法だ。
人に好かれる6原則(カーネーギー 『人を動かす』)
- 誠実な関心を寄せる
- 笑顔で接する
- 名前を覚える
- 聞き手にまわる
- 相手の関心を見抜いて話題にする
- 心からほめる(誠意を込めて、重要感を与える)
人を動かす3原則 (カーネーギー 『人を動かす』)
- 批判も非難もしない、苦情も言わない
- 重要感を持たせる(率直で、誠実な評価を与える)
- 人の立場に身を置く(強い欲求を起こさせる)
人を説得する12原則(カーネーギー 『人を動かす』)
- 議論に勝つ唯一の方法として議論をさける
- 相手の意見に敬意を払い、誤りを指摘しない
- 自分の誤りをただちにこころよく認める
- おだやかに話す
- 相手が即座に「イエス」と答える問題を選ぶ
- 相手にしゃべらせる
- 相手に思いつかせる
- 人の身になる
- 相手の考えや希望に対して同情を持つ
- 人の美しい心情に呼びかける
- 演出を考える
- 対抗意識を刺激する
人を変える9原則(カーネーギー 『人を動かす』)
- まずほめる
- 遠まわしに注意を与える
- まず自分の誤りを話したあと、相手に注意する
- 命令せず、意見を求める
- 顔をたてる
- わずかなことでも、惜しみなく心からほめる
- 期待をかける
- 激励して、能力に自信を持たせる
- 喜んで協力させる
幸福な家庭をつくる7原則(カーネーギー 『人を動かす』)
- 口やかましく言わない
- 長所を認める
- あら探しをしない
- ほめる
- ささやかな心づくしを怠らない
- 礼儀を守る
- 正しい性の知識を持つ
自分を大事にする生き方7か条(諸富祥彦)
- 「人生2度なし」という真理を日々噛みしめて生きよ。
- 自分の人生で「本当に大切な何か」を見つけよ。
- 「たった一つの人生という作品」をどうつくるか、たえず構想しながら生きよ。
- 自分は自分の味方であれ。「自分を見守るまなざし」を自分に中に育め。
- 「この人だけは私を見捨てない。どこかで見守ってくれている」そんな人を見つけよ。
- ソーシャルスキルを身につけよ、他人の話を聞き、他人を認めよ。
- 「わかり合えない人とは、わかり合えないままでいい」と認める勇気を持て。
日常心得10か条(2015年4月1日)
- 楽天知命
本当の自分を知り、本当の自分をつくる
天命を知り、天命に己を捧げる
わが身に降りかかってくる一切の出来事は、自分にとって絶対必然であるとともに、絶対最善である 一切の不平不満を感謝に置き換える - 神さまを信じきり、自分を信じきる
大いなる自信と、大いなる謙虚さと、大いなる感謝を - 成徳達材
学んで徳を成し材を達す 人間力と専門力を磨く - 対心一処「今ここ」全力投球
- スポットライトを持つ
美点凝視・長所練磨 美点長所の一点把握と賞賛指摘
いいところとつきあい、いいところを用いる - キャッチャーミットを持つ
受容と共感 あいさつ、スマイル、いいとこみつけて、認めてほめる
否定しない、批判しない、誤りを指摘しない、議論しない、競争しないで、アイメッセージ
人の己れを知らざるを患えず、己れの人を知らざるを患えよ
自らを知りて自らを示さず、自らを愛して自らを尊ばず - みんな違って みんないい
私OK あなたOK
私は劣ってはいないし優れてもいない、ただ「わたし」であるにすぎない - 処人あい然
人に接して相手を楽しませ心地よくさせる
務めて徳を積む必要がある、務めて汚いもの嫌なものを包容する度量を養う必要がある、務めて和らぎ人を愛する必要がある。 - 礼儀と敬意が調和の要
上を敬い、下を軽んぜず侮らない
人情の向背は敬と慢とにあり 愛敬の二字は交際の要道なり
いいところを発見し、いい距離感で付き合おう - いいとこ3つに課題は1つ、自分も他人も何事も怒るな、いばるな、あせるな、くさるな、負けるな
もうひとつの、日常心得(「身体」(外)から心を正し鍛錬する)
心を正し鍛錬するには、教えを学び、頭(心)で正すしかないと思っていたが、
森信三先生の教えや、トイレ掃除で暴走族少年を公正させたという鍵山秀三郎氏の本などから、「身体」(外)から心が正され鍛えられることを知った。
そして、頭(心)から心を鍛える方法は観念的であるのに対して、「身体」か
らのほうは、実践的でより確実であることもわかった。
森信三先生は自分の体験を通して、腰骨を立てて、丹田に力を込めることで、肉体だけでなく精神力も鍛えられるというが、その理由は、「身心相即」だからである。このことは、森先生の何十年にもわたる実践が「真実」であることを証している。
また、師の教えに、「しつけ」の三大原則なるものがある。それを次に示す。
二、両親や祖父母から呼ばれたら、必ず「ハイ」と返事ができる子に
三、ハキモノを脱いだら、必ずそろえ、席を立ったら必ずイスを入れる子に
以上がしつけの三原則だが、あいさつと返事によって、親の言うことを素直に聞ける子になり、このことによって、心の受け入れ態勢が整うという。
(三)のハキモノをそろえ、席を立ったらイスを入れることは、人として「しまり」のある子にする極秘伝だというのだ。これは、金銭に対するしまりも意味する。あいさつと返事をすること、ハキモノをそろえることに、これほど重要な意味と効果があるのだ。
森先生だけでなく、中村天風師は積極的な心をつくるために、積極的な言葉を使うことを強調した。また、絶えず深呼吸をすることで落ち着いた気分をなれ、肩の力を抜いて肛門を閉めることで、外からの刺激を和らげるという。
このように、「身体」(外)から心を正し、鍛錬することができる。このような観点から、「もうひとつの、日常心得10か条」をつくった。
もうひとつの、日常心得10か条 2015年11月30日
- 瞑想、体操、掃除を習慣にする
- 常時、深呼吸(丹田呼吸)をする
- 肩の力を抜いて腰骨を立て、丹田を充実させる
- 言葉も態度も元気ハツラツ
- いつも笑顔でニコニコと、一日一回腹から笑う
- 「ありがとうございます」を毎日60回以上唱える
- 感謝できることに目を向ける(不平不満を感謝におきかえる)
- 自分のいいところ、OKなところに目を向ける
- 相手のいいところ、OKなところに目を向ける
- 楽しくなること、ウキウキすることに目を向ける