1998年のロシア危機においては、ロシアの国内銀行の全ての預金と貸金庫が封鎖され、そこに入っていた資産は全て没収された。
2001年12月、アルゼンチンにおいても国家破産を原因とする預金封鎖が断行され、経済が大混乱におちいり、暴動、略奪が発生し、銀行は投石だけでなく焼き討ちにまであった。
昭和21年の日本における徳政令では、銀行預金・郵貯が封鎖されただけでなく、戦時中に発行された戦時国債は全て紙キレになった。
別の形の徳政令もありうる。
政府がある日突然、通貨の価値を引き下げてしまうのだ。これをデノミという。ロシアでは1998年に、ある日突然、通貨の価値を1000分の1にするというデノミが行われ、文字通り一夜にして多くの人々が経済的に多くの被害を受けた。
デノミと新札発行(日本でいえば新円発行)が、同時に行われる場合もある。
ハイパーインフレであろうと、預金封鎖であろうと、国民の円資産が大きく目減りし、大多数の国民の生活が破壊される。そのため、治安が極度に悪化する。
アルゼンチンの場合、昼間から強盗が多発し、資産家の家族は誘拐の危険にさらされた。ロシアでも治安の悪化は著しく、一時は郊外の一戸建てには住めない状況だった。
国家破産は社会全体の変動や政権の交代すら促すこととなり、経済だけでなく、国のあり方そのものを変える可能性もある。
以上、経済状況については、浅井隆氏の『小泉首相が死んでも本当のことはいわない理由』(第二海援隊)から抜粋させていただいた。