地球環境

4番目の問題は、熱帯林の破壊である。
1940年から1980年の40年間で、熱帯林の全体の約半分が消滅。
81年から90年までの10年間に、年平均1540万ヘクタール(日本の面積の約40%)ずつ減少している。つまり、この10年間で日本の面積の4倍もの熱帯林が破壊されたことになる。
このまま熱帯林が減少し続ければ、あと100年あまりで地球上から熱帯林が消滅する。森林破壊と地球温暖化の加速によって、地球上の3分の1とも半分ともいわれる熱帯林の生物種が、絶滅する危険も指摘されている。
地球は全てが絶妙なバランスや循環で成り立っているので、生物種の絶滅は、やがて人間にとっても同じ結果をもたらすことになる。

5番目は砂漠化の問題だ。
過剰な放牧、地力を無視した耕作、無計画な森林の伐採ばっさいなどによって砂漠化が進行。1991年の国連環境計画の報告によれば、地球の陸地の4分の1が砂漠化し、現在でも、毎年約600万ヘクタールの割合で砂漠化が進行している。これは日本の九州と四国をあわせた面積に相当する。
砂漠化した土地では当然のことながら水不足が恒常化し、食糧不足に陥り、飢餓きが疫病えきびょうで死亡する人々が増加する。80年代にアフリカを襲った大干ばつにより、アフリカ全土で3000万人以上の人々が飢えに苦しむことになった。

6番目は合成化学物質の汚染の問題である。
農薬として使われていたDDTや、電気の絶縁用に利用されていたPCB(ポリ塩化ビフェニール)といった合成化学物質は、生物に対する直接的な毒性を持ち、発ガン性物質となっている。それだけでなく、ホルモンの働きを乱し、生殖器障害や精神的異常行動などを引き起こす作用があると考えられている。
1950年代、アメリカフロリダ州のハクトウワシの雄の約80%が生殖能力をなくした。
人に与える悪影響としては、精子の減少が考えられている。1992年、デンマークのコペンハーゲン大学の研究チームは、50年間に人間の精子数が半減していると発表している。
7番目は核の脅威である。
1997年、核保有国による核兵器の推定総数は、約3万4000発から3万6000発と考えられている。この爆発威力は、14万人以上が死亡した広島型原爆の約80万発以上に相当する。
原発事故も大きな脅威だ。
1986年4月26日、旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所の原子炉が爆発し、10日間にわたって大量の放射性物質を撒き散らした。その結果31人が死亡、200人以上が入院、最終的には500万人以上の周辺住民が被爆した。この事故で、半径30キロメートル以内の放射能汚染は通常の2万倍に及び、この地域の13万5000人の住民が避難させられた。
これは少なくとも、広島型原爆の350発分にあたる放射能汚染に相当すると考えられている。もし、日本で同様の事故が発生した場合、ほぼ日本全土が放射性物質によって汚染されることになる。
以上、地球環境については、『地球に今何が起こっているのか』(東海大学情報技術センター所長 地球科学技術推進機構 機構長坂田俊文監修 坂口哲典著 KKベスセラーズ)から抜粋させていただいた。