一厘の秘密と仕組(大本教の神典)

先に「太陽の暗号」を紹介したが、そこで述べたように、「三羽の鳥」の暗号から、最終的に三輪(ミワ=サンワ)すなわち「3つの円」の暗号に辿り着いた。実はこれらの円を重ねることで、暗号者のメッセージが浮かび上がってくるのである。
次のイラストは、2つの暗号の円を重ねたものである。
このイラストから浮かび上がってくる2つのラインに、最も重要なメッセージが込められていた。その2つのラインだけを取り出したのが、その次の「2つのラインのイラスト」である。


2つの円を重ねたイラスト


2つのラインのイラスト

この2つのラインは、北東から南西への同じラインだが、上のラインは「冬至の夕日ライン」で下のラインは「夏至の朝日ライン」になる。
説明が必要だろう。
大和三山の中線のところでも説明したが、北東から南西へのこのラインは、北緯34度周辺では特別な現象が起こる。
どう特別かというと、このラインの南西から北東を望めば「夏至の日の出」が確認でき、逆に、北東から南西を望めば「冬至の日没」が確認できるのである。いわば、このラインは、「夏至の日の出・冬至の日没ライン」と言ってもいいようなラインなのだ。
地球は北極と南極を結ぶ地軸を中心に、太陽の周りを公転しているが、この公転面に対して、地軸が右へ23度ほど傾いている。それが原因で、先の特別な現象がおこる。
したがって、南西から北東方向を指す上のラインは「冬至の夕日ライン」となり、北東から南西方向を指す下のラインは「夏至の朝日ライン」となる。
ところで、暗号者は「夏至の日の出・冬至の日没ライン」で、神の「死と復活」を表現していた。
冬至というのは一年で一番日の短い時で、人にとっては、太陽の活動が最も衰えるときでもある。そこで、古代人は冬至の日に、太陽の活動が再び活発になるように盛大にお祀りをした。
クリスマスも、もとは冬至の日の「復活祭」がルーツである。
というのは、神を太陽にたとえると、太陽の活動が一番衰える「冬至」は神の死を象徴するからである。もちろん、不老不死の神が死を迎えることはない。神の死とは、神が隠れる(休息する)ことを意味する。
それはともかく、もう一方の「夏至」は、何を象徴するのか?
「冬至」と「夏至」は正反対である。「冬至」が神の死を象徴するなら、正反対の「夏至」は神の復活を象徴することになる。
だから、暗号者は「夏至の日の出・冬至の日没ライン」の特別なラインに、神の「死と復活」を象徴させたのである。
これを補足説明するために、暗号者が創作したのが、『記紀』の天照大神の「天岩戸開き神話」である。
須佐乃男命の蛮行によって、天照大神が天の岩戸に隠れてしまう。日の神である天照大神が隠れてしまったために太陽が出なくなり、地上が暗闇になった。だが、神々の作戦によって、天照大神を天の岩戸から出す。すると、地上は再び明るさをとり戻す、という神話である。
この物語の、天照大神の「岩戸隠れ」は「冬至の日没」を、天照大神の「岩戸開き」は「夏至の日の出」を、それぞれ象徴しているのだ。
ではここで、先の2つのラインに、もう一度注目して欲しい。
上の「冬至の夕日ライン」は「冬至の日没」、すなわち天照大神の「岩戸隠れ」を強調している。太陽が沈むのは南西の松尾大社の場所である。
次は、下の「夏至の朝日ライン」に注目して欲しい。
「M・S(若御魂神社)」の「M・S」とは、ミステリースポットの略で、それは香代子先生の夢に現れた「約束の地」である。その場所は古代史研究の結果、「神宮の元の場所」だった。
どうして、ミステリ-スポットなのかというと、〖約束の地〗で述べたように、その場所に「三種神器奉祀跡」と書かれたミステリーポール(木製の碑)が、建てられていたからである。
それを建てたのが、図に示す「大兵主神社」の中由雄宮司である。
中宮司によると、ポールを建てた場所は桧原という地名でそこには「若御魂神社」という神社があり、弓月岳というところには「兵主神社」という神社があったという。ところが、両社とも応仁の乱のときに焼失してしまったので、大兵主神社で一緒に祀ることになったというのである。
その3つの神社を地図に示したのが、先の下のラインである。
先述したように、「M・Sから兵主神社・大兵主神社へのライン」は「夏至の朝日ライン」であり、それは「夏至の朝日」、すなわち天照大神の「岩戸開き」を強調している。
M・S(約束の地)の場所に注目すると、それは「夏至の日の出」の場所にあたる。言い換えれば、それは、神が復活する場所だ!
さて、ここで、「艮の金神」が封印された場所を思い出して欲しい。
それは、丑寅(北東)、すなわち「夏至の日の出」の場所である!
すでに見たように「ウシトラノコンジン大神」は、暗号者の手が入ったと思われる『九鬼文書』に記されていた。先述したが、この「ウシトラノコンジン大神」は、暗号者が暗号解読のヒントのために創作した神名だった!?
それは、世界の創造を担当する日本の神々の総称である。
この神名の影響を受けたと思われる「艮の金神」は、世界の創造を担当するために、暗号に示された「夏至の日の出」の場所(北東=丑寅)、すなわち「約束の地」から甦る「世の元の神」になるではないか!?
詳しい説明は、拙著『ついに開封された契約の箱「アーク」と「神一厘」の超秘密』(ヒカルランド)を参照して欲しいが、「艮の金神」の別名である「国常立尊」は、三種神器の一つの「草薙剣」を示す暗号名だという説がある。
それは、秘密結社「ヤタガラス」と会談した、飛鳥昭雄氏と三上たける氏の説(『失われた極東エルサレム平安京の謎』学研)である。
国常立尊の「常」は「長い様子」を意味し、言霊で「立」はタチで「太刀」と読み換えることがでる。したがって、国常立尊は「草薙剣」を示すというのである。
「国常立尊」は『日本書紀』で、最初に生まれる三神の中の一神で、この三神は「原初三神」と称される。「国常立尊」の他に「国狭槌尊」と「豊斟渟尊」があるが、「国狭槌尊」は「八咫鏡」を、「豊斟渟尊」は「勾玉」を、それぞれ暗示しているというのである。